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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□─────────────── 2010.4.29 ── Vol.0071 ──
      左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
      介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
── CONTENTS ────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『父が倒れた10年目の夜』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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■□■…………… 『父が倒れた10年目の夜』 4月29日 …………■□■

2000年に脳梗塞で倒れてから約10年、2009年12月に父 ヨシオは脳出血を起
こした。

脳梗塞で倒れた当初は、「5年もつか10年か」と医者に言われ、
「あんな風に言われたけど、全然元気でもう10年経つよね」と、母と笑ってい
た矢先の出来事だった。

その日私は外で仕事をしていた。終業後に携帯電話を見て、クリスマスで賑わ
う街角で棒立ちになってしまった。

母からの着信、留守電メッセージ、メールが何件も入っている。
「お父さん倒れた。救急車でS病院へ運びます」
ああ、いよいよ来たな、と妙に冷静に思った。

救急車で運ばれてから、もう既に2時間程経過していて、携帯電話を掛けると
落ち着いた様子の母が出た。

命に別状は無く、意識はしっかりしていること。
母が外出していた時に、父はいつものように杖をついてトイレへ行き、部屋へ
戻る途中で力が入らず床に座り込んでいたこと。
脳出血との診断で、集中治療室ではなく個室に入院したこと。
弟や妹にも連絡済みで、皆病院へ向かっていること。

それらを確認すると、すぐにタクシーに乗り込んだ。
「お腹が空いたから、おにぎりでも買って来て」という母の言葉がなんだか可
笑しい。
そうなんだよね、こういう非常時にもちゃんとお腹は減るんだ。
しかも、何か食べる時間がいつ取れるのか取れないのか、先行きがわからない
から、時間ある時にしっかり食べることが意外と大切なんだ。

タクシーの運転手さんにS病院と告げ、事情を話してなるべく急いでもらう。
しかし夕方の一番道路が混む時間、ノロノロ運転だ。

行きつけの病院の話から始まり、運転手さんの住まいは隣町だということがわ
かり、運転手さんは話に夢中。
道は空いてきたのにスピードは出さず、半分後ろ向いて話ししてるような状態
なのだ。

仕方ないので、携帯電話で知り合いに電話をかけ、父が倒れた旨を話す。
病状をわざと深刻な口調で話していると、本当に父が危篤に陥っているような
気になってドキドキしてきた。
運転手さんもようやく我に返り、真剣に運転に戻ってくれた。

途中のコンビニでお握りや菓子パン、お茶などを買う。あまり食欲はないけど、
何がどうなるかわからない状況なので、少しは食べておかないと。
運転手さんにも缶コーヒーを一本あげてお礼を言い、しんとした病院の入口で
降りた。

教えられた病室を目指すと、ロビーに母や妹、いつもより大人しい姪達が居た。
夜の病院は人が居るけど暗くて、空気が重くて独特の雰囲気がある。
誰かが入院する度、こんな風に家族が青い顔して集まる。誰しも何度か経験あ
ることだと思うけど、これからも度々こんな事があるのだろう。

病室へ入ると、義妹のエリさんが付き添っていた。父は目を開けているけれど、
むくんだ赤い顔して横になっている。
鼻や手首に管を沢山つけられて、苦しそうな息づかいだ。

「お父さん、大丈夫?苦しい?」と声を掛けると、ひょいひょいと手を降った。
意識はちゃんとしてるらしい。

むせて咳をすると、エリさんが背中をさすってくれている。その様子を見て、
なんだかホッとした。
父がまた倒れてどうなることかと不安だらけだが、こうして家族が力を合わせ
れば大丈夫。きっと乗り越えていける。そう感じた。

その内に弟も到着したが、結局のところ家族ができる事は何もない。
母からまた詳しい話を聞き、脳出血の部位により後遺症が出る可能性や、また
脳出血があるかもしれない、まだ予断は許されないことを知る。
数日は様子を見守るしかない。

10年前に脳梗塞で左半身が不自由になって、それでも元気で泣いたり笑ったり、
それなりに平和で楽しかった毎日。
それがなんの予兆もなく、こうして崩れてしまう恐ろしさをつくづく感じる。

家に戻る頃には、冷たい雨が強くなっていた。我が家の状態を表わすかのよう
な、寒くて重い土砂降りの夜だった。

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■□■………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■

ある日、母の携帯電話番号から「緊急です!緊急です!至急連絡ください!」
なんて聞いたことのないメッセージ音声の電話がかかってきた。
ビックリして電話すると、どうやら携帯電話を病院のトイレに落としたらしい。
その時に自動的に緊急メッセージが、登録されていた緊急連絡先である私の番
号に通報してきたらしい。

その時はなんとか通話できたけれど、だんだん通話もメールもできなくなって
しまった。
「画面が曇っちゃって、うんともすんとも言わなくなっちゃった〜」と母。
「あ〜あ〜、しょうがないな〜。でも完全に自分のミスだから諦めるんだね」
「でもたまに画面が見える時があるよ」「本当〜?一時的に復活しても、また
すぐダメになるかもよ〜。諦めて新しいのにするしかないんじゃないの。
2万円くらいかな?痛い出費だね〜」と、泣く泣く携帯電話の店へ。

事情を話してデータのバックアップだけ取り、調子を見てもらうと、母の話通
りたまに気が向いたように電源が入り、ちゃんと機能しているように見える時
がある。
諦めきれない母は「もうちょっと様子見てみます!」と、お店のお兄さんの薦
めを振り切り、買い換えを先延ばしにしてしまった。

それから数日、だましだまし使っている間に、不思議と画面の曇りもなくなり、
普通に使えるようになってしまった。
「良かったわ〜。どうしようかと思っちゃった」
「ビンボーで大変な我々を、神様が可哀想に思ってくれたんじゃないの」など
と言いつつ、それから何事も無かったかのように、4ヶ月間使っていたけれど、
とうとう先日アロハになりました〜。

いままでの年配向けの簡単な機種がなくなり、また違う使い方に四苦八苦の母
ヤスコです。

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■□■……………………… 編 集 後 記 ……………………………■□■

 冒頭から驚かせて、皆さんごめんなさい。父ヨシオはお陰様で3ヶ月に退院し、
今はまた以前とほとんど同じように自宅で暮らしています。
入院中は様々な出来事があり、また介護日記のネタを提供してくれました。
ぼちぼち書いていきますので、お楽しみに〜!

●今日の格言 『歯が痛いから野菜だけ残すなんて、だまされると思うなよ』