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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2006.11.28 ── Vol.0065 ──
       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『母の楽しみは父の迷惑?』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□………… 『母の楽しみは父の迷惑?』 11月28日 …………□■□

 母ヤスコの最近の趣味は、もっぱら絵手紙。父ヨシオの自宅介護を始めてから、
必然的に家にいることが多くなったので、描き始めたのだ。


 初めは本やテレビの講習などを参考に、自己流に描いていたけれど、その内に
月に一度の絵手紙教室に通うようになった。
 『下手でいい、下手がいい』をモットーとする絵手紙界の巨匠・小池先生を見
習い、楽しんで日々あれこれ描いてる。


 素朴な絵にひとこと添えて、誰かにお便りを出す。描いた方も楽しいし、も
らった方も嬉しい。絵手紙はなかなかステキなコミニュケーションだと思う。
 たまに気が向くと、父ヨシオも一緒に描いたりするけど、ごくごく稀に天才的
な絵を描いて驚かされたりね。

 「すごいよお父さん!ピカソもゴッホもビックリな、イイ味出してるよ。もっと
描きなよ」と言うと、うるさがって描かないヘソ曲がりな父。

 それはともかく、近所の奥さん方に頼まれて、ちょこっと教えたのが発端で、
母は地元の自治会館などで定期的に絵手紙教室を開くようになってしまった。
 正確には、完全なボランティアでお金はいただいてないし、そもそも何か資格
を持った講師でも何でもないので、『絵手紙教室』なんて言うとオーバーかも。
 月に一度、近所の奥さん達が集まってワイワイ絵手紙を描いたり、おしゃべり
をしたり、ついでにお茶も飲んだり…という感じなのだ。

 もともと母ヤスコはそういうのが好きなので、とても楽しそうにしている。
色んな人が集まって、野菜やら草花やらと向き合って、学生時代以来絵なんか描
いたこともなかったわ〜なんて言いつつ新しい発見をする。そのお手伝いをする
のはかなり楽しく、自分も成長できるんだろうな…なんて私は想像するけど。


 それから人づてにあちこちから声がかかるようになって、今では何カ所も同じ
ように絵手紙を教えてるんだ。大部分が主婦の集まりなので、大体1時間半〜2
時間くらいでお開き。お昼を済ませて出かけて行っても、午後3時〜4時くらい
には戻ってくる。そしてまた続きを描いたり、次に教えるための準備をして、と
ても忙しいながら充実した毎日のようだ。


 父ヨシオはこのところ、週に2〜3日はデイサービスに通っている。私は仕事
や遊びで家に居ない事もあるけど、父も数時間はひとりで留守番ができるし、基
本的にはみんなで母の絵手紙活動を応援してるんだ。


 母はたまに根詰め過ぎて、首が痛いとか膝が痛いとか言っている。
「仕事じゃないんだから、そこまでやりすぎて身体悪くしないでよ」と言うんだ
けど、「大丈夫よ」と笑ってる。


 そうこうして10月に、近所の自治会館で教えてる人達を中心に、作品展をや
ることになったらしい。絵手紙の作品をメインに、人形作りや押し花アートなど、
ご近所さんの手芸作品なども集めるらしい。


 「葉書1枚ずつじゃしょうがないので、模造紙に並べて貼ろうと思うんだけど」
と母ヤスコ。
 「模造紙!?なんじゃそりゃ。もっといいのがあるよ〜」私はつい口を出して
しまった。


 私のお世話になっている看板制作会社のF社長に以前、軽くて丈夫な発泡スチ
レンボードの端材をいただいたので、それに色の綺麗な和紙を貼って、その上に
絵手紙作品の葉書を並べることにした。こうすると、ちゃんとした立派な(?)
作品に見えてくるから不思議なのだ。薄っぺらな模造紙に貼り付けるよりは、雰
囲気が出ると思うし。


 「あら、いいじゃないの。さすがプロの目は違うわね」
 「当然でしょ!本当ならもっと凝るところだけど、仕事じゃないから、素人の
手作り感も残した方がいいんじゃないの」などと適当な事を言っていたが、次第
に私も母ヤスコとその仲間達に巻き込まれてしまった。


 作品展の日が迫るにつれ、母は準備に追われていた。夜遅くまでかなり大きな
紙に絵手紙を描いたり、スタンプアート(要するに消しゴムハンコ)で小物を
作ったりしている。


 そうなると私も黙ってられない質なので、母の作った小物を真似ていくつか
作ったり、展示のアイディアを出したり。
 その話をF社長にすると、社長はとても喜んでくれて「そんな風にがんばって
る人達を見ると、もっと応援してあげたくなるよ」と、立派な立て看板まで作っ
てくれた。


 生徒さんというかお仲間の皆さんが、家に入れ替わり立ち替わりやってくる。
母と打ち合わせしたり、作品を持ってきたりあれこれやっている。
 「七緒の知り合いの社長さんが、看板を作ってくれたのよ」と見せると、
 「あらま〜、これはすごい!看板が立派過ぎて、肝心の展示作品が寂しいと
困っちゃうわね〜」なんて口々に言いながら、皆さんとても輝いていて、妙な興
奮状態にあった我が家。


 以前からお客さんは多い方だし、父も人好き話し好きなので来客は大歓迎だっ
たのだけれど、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。
 母が忙しくしていて食事がちょっと遅れたり、簡単なもので済ませることが続
くと、明らかに機嫌が悪くむっすりしている。
「もっと俺のことをかまってくれよ」と、顔に書いてあるのがわかるくらいだ。

 
 家の中が賑やかで、みんなが楽しそうにしているのはいいけど、自分だけが取
り残されているような気分になったのかも。自分もそういうお祭り騒ぎは大好き
なのに、何ができるわけでもない…。俺のことは放っておいて、なんだなんだ。


 いやいや、違うのよ、本当は。父ヨシオにももっと絵を描いてもらいたかった
のに、そう言うとわざと拒否して描かない。そのくせ余計な所にうるさく口を出
したりするから、こっちも「も〜、ちょっと黙っててよ!」ということになるの
だ。


 ある日の朝食後、母と私はカレンダーを見ながら話していた。
 「この月曜日は、お父さんデイサービスの日だけど、翌日私が用事あるから、
火曜日に変更してもらうわ」「月曜はそのままで、火曜日も行ってもらえば?」
「でも水曜日はあれでこれで…」「私は月曜日がうんぬんかんぬん…」と、ふた
りで頭をひねっていると、父がブチ切れた。


 「お前達の都合で、どうして俺がしばられなきゃいけないんだ!俺は行かない
ぞ!!」


 はあ〜?私は思わず笑ってしまったね。


 「なに言ってんの?お父さんの都合でしばられてるのは、お母さんと私でしょ。
お父さんが身体を壊したから、私達がしばられて自由に出かけられないんで
しょ!元はと言えばお父さんのせいなのに、なに威張ってんのよ!!」


 さすがに父は矛盾に気付いたのか、黙ってしまった。


 ちょっと言い過ぎたかなと思ったけど、こっちだって都合があるし、父ヨシオ
のご機嫌だけで家に居るわけにゃあいかんぜよ(なぜか土佐弁?)


 母が絵手紙に打ち込めるのも、私が仕事だ遊びだと出かけられるのも、父がま
だこれくらいの健康状態を保って、デイサービスに行ってくれるお陰なのはわ
かってるし、感謝もしてる。


 しかし、家に居てもテレビをぼ〜っと見ているか、座ったままグウグウ寝てい
るかなんだから、デイサービスに行くのに何の不満があるのか?
 送り迎え付きでデイサービスに行けば、親切なスタッフに囲まれて、お風呂に
入って食事してカラオケして、天国じゃありませんか。
 なにも強制労働で稼いでこいって言ってるわけじゃなし、家でぼ〜っとしてる
よりよっぽど良いと思うのだが。


 まあね、出掛ければそれだけで疲れることもあるし、色んな人がいるから衝突
することもあるでしょう。家に居て何をするでもないけど、やっぱり自分の家に
居るのがいいのはわかるんだ。


 でもね、母が自由に楽しそうにしてるから、自分だけつまらないような気に
なってしまって、子供のように駄々をこねるのを許せるほど、このファミリーは
甘くない。母も悪いことしてるわけじゃなし、それくらいの楽しみを見つけない
と、やってられないと思うよ。
自分の人生は自分のもの、誰かのためのものじゃないと、この頃強く思うんだ、
私。

 
 母ヤスコが七緒が、ある程度自由にできるのは父のお陰、父ヨシオがある程度
ふんぞり返れるのも家族のお陰。お互いにそう思って、その都度譲り合って、だ
ましだましやっていくしかないと思うのよ。
 いつかはこの均衡が崩れて、もっと大変な介護生活がやってくる。それまでは、
今できることをそれぞれが楽しんで、精一杯やっておくしかないよ。


 父が健康なら母が輝く。母が輝けば父も幸せ。それがベストだと思う。


 結局、父はデイサービスに予定通り出掛けてくれて、絵手紙の作品展も大盛況
だった。次回はもっと大きな会場で何日間か開催できれば、父も一緒に見に行け
るからね。是非そのように、みんなで前向きに頑張っていきまっしょい!!


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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■


 ある日のお昼ご飯。母ヤスコ作温かいうどんをすすっていて、ふと見ると電子
レンジに何か入っている。
 「ねえ、レンジになんかあるよ」「あら?何かしら」と電子レンジの扉を開け
ると、鶏肉のかたまりだった。
 「あら〜、あはははは!」笑って誤魔化す母。冷凍しておいた鶏肉を解凍して、
うどんのおつゆの出汁と具にしようと思っていたのに、キレイさっぱり忘れてた
らしい。肝心の鶏肉を入れないで、何を考えて何を出汁にしてうどんをこしらえ
たのか、母ヤスコよ!?もしかして深刻な病気じゃないかと、本気で心配な今日
この頃。

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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■


 皆様お元気ですか?ヨシオファミリーは、この通り元気で〜す!秋から冬は、
美味しいものが沢山ある上に、寒くて動かないからどうしても体重が増えます。
父ヨシオの好物は焼き芋!近所の八百屋さんへ買い物に行く時は、必ずリクエス
トが入ります。母ヤスコもまたこまめに買ってくるので、ふたりはしょっちゅう
焼き芋を食べている気がする。
「また焼き芋!?」と私が言うと、「焼き芋は便秘にもいいんだから!」と、開
き直っている模様。ま、お饅頭やケーキよりは、健康的でいいか?


●今日の格言 『食べた分は歩きなさいよ、と言っても聞こえないふりする父』

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