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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2005.11.29 ── Vol.0063 ──
       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『ヨシオファミリー最大の危機・前編』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□… 『ヨシオファミリー最大の危機・前編』 11月29日 ……□■□
 去年の今頃。ヨシオファミリーには未だかつてない危機が訪れていた…。
 それは12月も半ばに差しかかる頃だったろうか。母ヤスコが体調を崩した。
以前から肩が痛いの首が痛いのと、たまに言っていたけれど、今回は少し違うら
しい。
 
 「ちょっと左肩が痛いから、横になってるわ。や〜ね、もう五十肩じゃなくて、
六十肩っていうのかしらね」などと言いつつ、家事の合間には横になる日が2〜
3日も続いただろうか。

 その日の朝、かなり辛そうにしてる母。痛くて夜も寝られなかったらしい。
「ちょっと〜、大丈夫?病院へ行った方がいいんじゃないの?」
「そうね、お父さんがデイに出かけてから、行こうかしら」
「そんなじゃ車も運転できないでしょ。一緒に行くからさ」

 そして病院へ出かける支度をするも、あまりの痛さに着替えもままならない状
態なのだ。腕を袖に通してはうんうん唸っている。こりゃ相当ひどいぞ。改めて
私の方が青くなる有様。
 いつも父ヨシオと通うリハビリ病院へ、今度は母を連れて行く。
なんだかな〜、もう。しっかりしてよ!!と、ハッパかけることもできないくら
い、ぐったりしている母。
 
 整形外科でレントゲンを撮り、医師に話を聞くと、五十肩は五十肩だけど、
もっとうんとひどくなった状態らしい。
 「これは痛かったでしょう。大の男でも、救急車で運ばれて来るくらいの激痛
がある病気なんですよ」
 ぎょぎょ!そんなのを母は我慢していたとは!?

 つまりは、加齢や運動不足のせいで、肩の関節に石灰が溜まって、そこがひど
く痛む症状らしい。医師は説明をしながら、痛がる母の腕を取りサバサバと話す
が、見ているこっちは自分まで痛むようで、なんだか辛かったなあ。

 「それじゃ、お薬出しますから、それ飲んで様子を見ましょう。安静にして
明日また来てください」と、あっけなく診察は終わった。

 家に戻り、ご飯を食べ薬を飲んでも、母の状態は一向に良くならなかった。
むしろ痛みは増しているようだ。トイレに起きたかと思うと、泣きながらヨロヨ
ロと戻ってきた。ヤバイ、ヤバイぞ!!こんな母見たことない!どうしたらいい
んだ!?

 すかさず病院へ電話し、さっきの医師を呼び出し、
「とにかくすごく痛がっているんです。痛み止めの注射でもなんでも、してやっ
てくださいよ〜」と、私まで半分泣きが入っている。

 それでも何もしてくれないなら、救急車を呼んで他の病院へ行こうと決心して
いたけど、幸いにも「すぐに連れて来てください」と言ってくれたので、再び病
院へ向かうことにする。この時点で午後3時頃だったか。ヤバイ、父ヨシオが四
時半には帰って来ちゃう!

 今度はデイサービスに電話をかけ、事情を話す。遅くなるけどこちらから迎え
に行くので、そのままデイに居させて貰うように頼むと、快く了解してくれた。
父には悪いけど、こうするより他は無い。寒い家にひとりで置いておくわけにも
いかないし、デイのスタッフには迷惑かけるけど、施設に居て貰う分には安心だ
から。

 緊張と怖さで、妙にドキドキする胸を押さえる。

 落ち着け落ち着け、私がパニクってどうする!?これで交通事故でも起こした
ら目も当てられないぞ。
 なるべく平静を装い、慎重な運転をして通い慣れた道を走る。母は後部座席で
身じろぎもせず痛みをこらえている。今思い出しても、あの緊張感が鮮明に蘇る
よ。

 病院へ着くと、すぐに診察室へ入り、注射をすることになった。げ!注射でも
してくれって言ったけど、本当にするんだ!?

「麻酔を入れながら、この石灰の入っている袋を、針でつついて破いて、身体の
中に出しますからね」
「えっ!肩に直接ですか?」
「そう。針も太いから辛いと思うけど、それで痛みは楽になるからね」
「そそそそれで、袋から出した石灰は??」
「それは、身体の中に自然に溶けていくから大丈夫〜」

 せんせい〜〜。ほんとに大丈夫なんですかあ!?
 私が情けない顔をしてると、診察室の外に出されてしまった。

 しばらくしてまた診察室に入ると、がっくりとうなだれている母の背中が、
激闘を物語っていた。
 太い注射を肩にブスッと刺され、そのままグリグリとやられたらしい。ただで
さえ、今、泣くほど痛いのに、そんなことされたらと想像すると、うなじの毛が
そそけ立つよ〜。話を聞いただけでもこんなに痛いのに、可哀想な母ヤスコ!!

 この時ばかりは、悟ったね。本人が辛いのはもちろんだけど、傍で見ているこ
としかできないってことも、相当辛いことだと。よく、『代われるものなら代
わってやりたいくらいだ』という言い方をするよね。代わるのはやっぱり嫌だけ
ど怖いけど、自分なら若い分、まだ痛みにも耐えられるんじゃないか、回復が早
いんじゃないか…と、どうにもならないことを考えたりした。

 とにもかくにも家に戻ると、もうとっぷりと日も暮れている。ぐったり母を寝
かし、車を飛ばして今度は父を迎えに行く。半分電灯を落とした施設のロビーで、
父ヨシオはひとりぽつねんと座っていた。

「ごめんね、遅くなって」
「お母さんはどうだ?」
「うん、後で話すけど、とりあえず注射してもらって、薬飲んで安静にしてる」
「そうか。デイのスタッフみんなに『奥さんを怒っちゃダメだ』って言い聞かさ
れたよ」

 他の利用者が皆、自宅へ帰るときに、ひとりだけ残されるというのは、お年寄
りにとってはかなり寂しく切ないものに感じるらしい。
 ご家族も今大変で、やむを得ずこうしているのだから、「俺のことを放ってお
いて!」などと怒ったりしないでね、後でちゃんと迎えに来てくれるんだから…
と、親切にもこんこんと諭してくれたらしい。

 まさかそんなことで、お父さんは怒ったりしないよねえ〜、あのお母さんの姿
見たら、絶対そんなこと考えられないよ〜なんて話しながら、車に乗り込む間に
も、顔見知りのスタッフが「あら、今日はどうなさったんですか?」と声を掛け
てくる。

「いえ、実は母がちょっと…(以下、省略)」
「まあ、大変ですねえ。ヨシオさん、娘さんを困らせちゃダメですよ〜!お大事
に〜」

やっぱり、ちょっと信用されてない父ヨシオであった。普段の言動が言動だから
ねえ。でもなにしろ父は母が大好きなんだから、わがまま言ったり騒いだりでき
る道理もないと思うんだけどね〜。

 ようやく家に父を連れ帰り、簡単に夕食を済ませる。母は食べるが早いか、
さっさと(実際には肩と腕をかばって、極めてゆっくりと)横になってしまった。
父もしょんぼりしてるし、疲れているようなので、早めに休ませた。

 は〜。まったく、長い一日だった。やれやれ…と、その日を振り返った私だっ
たけど、本当に大変なのは翌日からなのだった…。   (後編へ続く)

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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 すっかり携帯メールにはまっている母ヤスコ。昨日も「ちょっとだけ教え
て?」と、友人のメールアドレスを書いた紙を持って来た。
「この横棒は、上の棒?」
「上の棒は無いよ。ハイフンっていう真ん中の棒と、アンダーバーっていう下の
棒しか無いの。これはハイフン。真ん中の棒だよ」
「あ、そう。下の棒じゃないとは思ったんだけど…」
うんうん、横棒にも何種類かあると、学習しただけでも立派なんじゃない?

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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■
 皆様ご無沙汰しておりますが、お変わりありませんか?こちらは皆元気で〜
す!母ヤスコの病気も、もうそろそろ一年経つので、時効かと思って書いてみま
した。もうほとんど回復してますので、ご心配なく。後編も近々書きますのでお
楽しみに〜!
●今日の格言 『部屋を模様替え中。ただのガラクタの大移動とも言う』

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