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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2004.06.13 ── Vol.0060 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『トイレ掃除は誰が?』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□…… スチャラカ日記 『トイレ掃除は誰が?』 6月13日 …□■□

 またもやトイレの話で恐縮です。
 皆さんのご家庭では、トイレ掃除はどなたのお仕事ですか?ヨシオ・ファミリ
ーにはまた新たなルールができました。

 父ヨシオがトイレで失敗することを、本人は以前から『爆発した』と、表現し
ている。

 夜中ブザーで起こされて、寝ぼけ眼で父の部屋を覗くと、
「爆発した。パジャマが濡れた。悪いな」などということが、前はしょっちゅう
だった。夜トイレに起きた父は、ベッドサイドに設置している安楽尿器で、一人
で用を足すのだが、どうかするとパジャマを濡らしたり、うまくいかずに床が濡
れたり…という失敗があった。

 もっともっと下のお世話が大変な方に比べたら、そんな些細な失敗ぐらいはど
うってことないとも思うが、真冬の夜中、寝入りばなに『爆発』されたりすると、
「も〜〜!気を付けてよぉ〜!!まったくもう…ぶつぶつ」と、なってしまう。

 最近はすこぶる好調なので、そういった『爆発』はめっきり少なくなって、お
互いに安心しているが、トイレの失敗はそれだけではないのだ。

 とある日。母ヤスコは外出し、私と父がお留守番の日だった。

 通常の父は、自分でズボンを下げて、おしっこぞうさん(HPの手作りコーナ
ー参照!)を使い、便座横の洗濯機にもたれて立ち、小用をする。その後、自分
で便座に座り、大の方をすることもある。
 用が済むと、トイレ終了を知らせるブザーを鳴らす。そうすると、誰かがトイ
レまで行き、パンツとズボンを上げてあげる…というシステムだ。 

 父は右手右足は健在だが、立って手すりに右手でつかまると、もう余裕はない。
手すりにつかまらずに、自分でズボンの上げ下ろしも、できるようになったが、
まだちょっと100点満点には届かないようだ。

 その日は母がいないので、ブザーで呼ばれて私がトイレへ。

 すると、リノリウム貼りの床が、ビショビショに濡れていた。
「あ〜〜!またやったね!?床が濡れてるじゃん!」「そうか?」「そうかじゃ
ないよ!すっとぼけて!床見てみなよ〜」「………」

 床を濡らしているのは、父いわく、おしっこじゃないらしい。

 うちのトイレは、父ヨシオが倒れて、家をバリアフリーにリフォームした際に、
新しくしたものだ。便座は電動で持ち上がり、立ち座りがしやすい便利機能付き。
その便利機能のせいで、父には使いにくいものになったらしい。
 便器本体と、腰掛けるための便座の間に、3センチほどの隙間があるのだ。
 
 用を足し終わり、シャワーを使う際に、お尻位置と水流強さの具合が悪いと、
シャワーのお湯が脚の間と、さらに便器と便座の隙間を通り抜けて、床に到達し
てしまうらしい。

 だから床を濡らすのは自分が悪いわけじゃない、汚くないと、父ヨシオは言い
張るが、私と母ヤスコは、それだけじゃないと、読んでいる。
 どう見ても、ただ単に隙間を通過してきたウォシュレットのお湯だけとは、思
えない色と臭いの液体が、床を濡らしていることもあるからだ。

 それは、父が一度立っておしっこをしてから座らず、トイレでいきなり座って
しまった時に起きる失敗。つまり、座っておしっこをすると、例の隙間からお
しっこが通り抜けてしまうらしい。

 これも『らしい』にすぎないのは、私と母の推測を「俺にはわからん!!」と
言って父が認めないからだ。どうして自分のおしっこを、自分ではわからんのか
…そこがわからん。

 そんなわけで、またもや床が濡れている。お湯オンリーなのか、おしっこミッ
クスなのかは、不明。

 「まったく、どうして気を付けてしないのよ?ちゃんと失敗しない時だってあ
るんだからさ〜」と責めると、父ヨシオが逆ギレ。
 「うるさい!放っておけ!!後でヤスコに拭かせるからいい!」
カッチーン!!なんだその言い草?こりゃ黙って見過ごせないよ。

 「ヤスコに拭かせるって、何?奴隷じゃあるまいし、自分で失敗しといて、何
をいばっちゃってんの?冗談じゃないよ。自分で始末しなよ、汚くないんでしょ」
と、雑巾を父に押しつける。

 「俺にできるわけないだろう!」「できるよ、手は長いんだから、座ってたっ
て届くでしょ。ほら、拭きなよ!」父は口をへの字にしていたが、雑巾を床にた
たき付け、車椅子に座ったまま、足でゴシゴシと拭き始めた。

 ふふふ、しめしめ。もうこっちのもんだぜ。私はもう怒ってないが、顔は
ちょっと怖いままで、言う。
 「ほ〜らできるじゃん!そこ、便器の下周辺、まだ濡れてるよ〜」
 父、車椅子にのけぞり、必死に長い(?)足を伸ばし、雑巾を踏みつけてゴシ
ゴシ。

 狭いトイレスペースでのこと、便器の向こう側などは、父の手も足も届くはず
は無い。もちろん最後は、私が床に這いつくばり、ゴシゴシ。

 その後、母ヤスコが帰宅すると、「七緒にトイレ掃除させられた」と、口をと
がらせ訴えていたらしい。母は「でも、自分で掃除するなんて、お父さんすごい
じゃない!」と、褒めちぎることを忘れない。そして父は、自分でも納得したみ
たいだ。できないんじゃない。やろうとしてない。私はそれを、許したくない。

 そして大の方も、『汚した人が、自分で掃除する』という、不文律を確立した。

 普通に使っていても、汚れるのは当たり前。普通に掃除すれば済むことだ。そ
れがどういうわけか、尋常でない汚れの時が度々あり、ある日とうとう私がキレ
た。
 
 「ちょっとお父さん!こっち来てみて。これ見てよ。今トイレ使ったの、お父
さんでしょ?この汚れはどういうこと??はい、そこにブラシあるから、掃除し
て!」

 さすがに父も、面食らったらしい。
 「大の男に、そんなことさせるヤツがあるか!?できるか、そんなこと!!」
 「自分の身から出たモノでしょ。自分なら汚くないでしょ。今までだって、
黙って私やお母さんが掃除してきたんだよ。どんなに汚しても、いつの間にか誰
かが綺麗にしてくれるのが、当然だと思ってるの?そんなの、おかしいよ。ほら、
ブラシ、自分で取れるでしょ?ちょっとこするだけで、綺麗になるよ」

 父は嫌々だが、ちゃんと綺麗にしてくれた。心の中で、父に拍手する。

 これまた後になって、母に向かって怒っていたらしい。
 「一家の大黒柱にトイレ掃除させてる家なんて、聞いたことないぞ!冗談じゃ
ない!!」と。

 な〜に、言ってるんだか。

 それ以来、明らかに父が犯人とおぼしき汚れは、発生していない。素晴らしい
じゃない?

 もちろん、わざと汚しているわけじゃない。誰だって、そんなこともある。そ
れを知らん顔して、誰かが始末するのが当然だと、そう思っていることが、困る
んだ。これは、父個人のことだけじゃなくてね。

 いや、当然だとは思っていないのかな。「汚して悪いな。でも男としてのメン
ツがある。トイレ掃除なんかは、俺以外の誰かがやるものだ」とか?
ははは、変なの。
 
 一人暮らしで、どんなに汚くても臭くても、自分は気にならないって人なら、
勝手にすればいいさ。でも、誰かと共に暮らしている以上、自分のことは、でき
るだけ自分でやるべきだ。男とか女とか大黒柱とか、そんなことには関係なく。
どうしてもできない事情があるなら、そこは助け合えばいい。これって、間
違ってる?

 きっと父ヨシオはこの介護日記を読んで、「俺の知り合いも、親戚も読んでる
んだぞ。トイレ掃除させられてるなんて、みっともないじゃないか!」と、言う
ことだろう。わかっているけど、私は書く。だって、ちっともみっともなくない
もの。

 父が身体を壊さなければ、私は今一緒には暮らしていないだろうし、父に向
かってトイレ掃除を強要することも、なかったかもしれない。父もまた、雑巾や
トイレブラシを手にすることも、なかっただろう。

 それでも今の父を、とても立派だと私は思う。忌々しい娘だと思ってるかどう
かは知らないが、素直に家族のルールに従ってくれる父を、誇りに思うよ。自分
のことを、誰かがなんとかしてくれて当然と思っている、そんな父じゃなくて。
とても素晴らしい柔軟性を示してくれて、本当にありがとう。お父さん!
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 夕食時、「今度始まる映画、見たいわ〜」と言い出した母ヤスコ。
 「新聞の全面に、感動したって文章が、沢山書いてあったのよ」「これからロ
ードショーなら、よくある広告だね。なんてタイトルの映画?」と、私。
母 「…よくおぼえてない」
私 「それだけ大々的な映画なら、私きっとわかるよ。洋画?邦画?」
  「…洋画。…だったと、思う」
  「誰が出てるの?」
  「…わからない」
  「ジャンルは?歴史っぽいもの?恋愛もの?」
  「…わかんない〜」

 もしもし?アルツハイマーじゃないでしょうね!?見ようと思ったのに、どう
して何にも覚えてないのさ? 
 
 ちなみにその映画は、ニコール・キッドマンとアンソニー・ホプキンスの
『白いカラス』でした。私も好きな俳優さん達なので、一緒に見に行こうかな。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 みなさま、お久しぶりです。うちは、相変わらずスチャラカやってますよ〜。
今回のネタ、もちろん父をおとしめてるわけじゃないってこと、賢明な読者様な
らおわかりですよね?ちなみに、私にもし夫や子供ができても、必ず同じように
トイレ掃除の義務は守らせますよ〜。一応、予告しておかなきゃね。

 父ヨシオは、先日から栄養指導を受けています。ダイエット報告は、順次して
いくつもりですので、お楽しみに!

●今日の格言 『ヌーブラ買ってみた。今年の夏は、キャミで勝負だぜ』
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