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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2004.03.07 ── Vol.0059 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『父と母とニモ・後編』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□…… スチャラカ日記 『父と母とニモ・後編』 3月7日 ……□■□

 (前編のあらすじ・映画『ファインディング・ニモ』を見ようと、シネコン型
映画館へ繰り出したヨシオ・ファミリー。バリアフリーのはずが、いざ入ろうと
すると、階段有り柵有りで大ピンチ!!上役のスタッフが駆けつけて来たが…)

 これこれこういう事情で、この席を取ったのだけれど、これでは席に着くこと
すらできない。ちゃんと確認しなかった自分たちも悪いけど、この席を勧めてく
れたスタッフさんも、Aスクリーンの造りをわかっていなかったのだろうか?

 もちろん、今更そんな事を言ったところで、何も解決しない。
 「このAスクリーンは、車椅子の方には前方の非常口から、出入りしていただ
くようになっています。だから一般の入り口は、特にスロープではないんです
よ」と、インカムのスタッフ。
 「そうみたいですね。でも、それだと上映中は、外に出られませんよね??」
 さっきの窓口でのやりとりの繰り返しだ〜〜。だんだん面倒臭くなってくる。

 「階段が少しありますが、スタッフが手を貸しますので…」
はあ〜?少しどころじゃないじゃん!4〜5段のゆるい階段を上がった後は、普
通の階段10段ほどを下るんだぜ!?勘弁してよ〜、マジで!!
 大体さ、車椅子を必要とするくらいだから、身体が良くない人が多いってのに、
一度入ったが最後、途中で席を立てないなんて、どう考えてもおかしいよ。うち
の父なら、まだ軽い方かも。電動車椅子や、全身動かない人が乗るヤツだったら、
重すぎて手を貸すどころじゃないかもね。その時は、どう対処する気なのか?

 それも大問題だが、今の問題は、父ヨシオだ。
 「どうするお父さん?トイレが我慢できれば、問題ないんだけどさ。でも、こ
ればっかりは、ねえ?」
 「そうだな。絶対行かないっていう、保証はできないな」
 「そうよねえ〜。どうするお母さん?」
 「そうねえ〜。時間は結構長いの?」

 「上映時間は、1時間ちょっとですね。まあ短い方です」と、インカムのス
タッフ。

 「そうねえ。それくらいなら、我慢できそう?お父さん」と、母ヤスコ。
 「そんなこと、わからん!」と父。そりゃそうだ。

 しかしいつまでも、トイレが我慢できるかできないかなんて、議論していても
仕方ない。車座になって騒いでいる我々を横目に、小さな子供連れのお客さんが、
続々とAスクリーンに飲み込まれていく。ここはもう、父の膀胱のがんばりと、
女性ながら逞しく立派な身体つきの、インカムスタッフさんに頼る他無い。

 「じゃあ…さっき取った座席じゃなく、一番前の車椅子席に、移動しても大丈
夫ですか?」と、一応、下手に訊いてみたりする私。
 「はい、今の所空いておりますから、大丈夫です!さ、どうぞ!」

 非常口を開けて貰い中に入ると、満員御礼状態。さすがに前の方には空席があ
るけど、これから始まる楽しい映画を、心待ちにしているお客さんでいっぱいだ。
子供達の笑い声、ポップコーンの香り。さっきはもう面倒になって、ふてくされ
て帰ろうかとも思ったけど、やっぱりこの映画館の魅力には、勝てない。

 「じゃあね、お父さん。なんとか我慢できることを祈るけど、行きたくなった
ら早く言わないとダメだよ。階段を登って降りて、トイレまで時間かかるんだか
らね!」
 なんだか矛盾だらけの事を言いつつ、私だけ真ん中辺りの見やすいイイ席に向
かう。うわっ!両隣も子供だ!ちょいと、本編が始まっても、そんなにしゃべっ
てたら、オネーサン怒るよ〜!と、心で叫ぶ。

 間もなく館内が暗くなり、始まった。しか〜し!近日公開新作映画の予告編が
長〜〜い!長すぎる〜〜!
 ポケモンだのドラえもんだのクレヨンしんちゃんだの、子供向け映画の予告編
が延々続く。両隣の子供達はおおはしゃぎで見入っているが、こっちはそれどこ
ろじゃないんだよぅ〜〜!

 始まる前から、既にものすごく疲れている私。はあ〜、何しに来たんだか?
さすがに『ファインディング・ニモ』の映画そのものは、とても面白い。でも、
最前列右端の、ふたつの影が気になって仕方ない。いつ父が席を立つのか?気が
気じゃないとは、まさにこのことだ。

 息子ニモを人間にさらわれたカクレクマノミの父・マーリン。ニモを探して、
相棒ドリーとの大冒険が佳境に入る頃、うちの父ヨシオも旅に出た。
 まず母ヤスコが席を立ち、スタッフを呼びに行ったらしい。その後3〜4人の
スタッフが、父を車椅子ごと抱えるようにして、黒い影の固まりは出て行った。
 
 その後、影の固まりが戻ってくることは無かった。
 「あれ〜?随分時間がかかるなぁ〜」と感じ、入り口付近をついつい見てしま
うが、なんの動きも無い。
 「もう面倒だから、戻らない気なんだな」と私が気付いたのは、映画が終わる
頃だった。

 子供達に揉まれながら、ロビーに出てみると、果たして両親が待っていた。
 「結局、半分くらいしか見られなかった?」と訊くと、
 「半分どころじゃないわよ!気が気じゃなくて、全然見た気がしないわ!」と、
母ヤスコは半分怒り、半分笑っている。

 「ははは!私もだよ!ずっとお父さんのこと、見ちゃったよ」
 「すみませんねえ〜。やっぱり我慢できなかったよ」と、父ヨシオ。

 母 「まったく!普段はずっとトイレ行かなくても平気なくせに、どうして肝
    心な時には近くなるのかしらね?」
 七緒「ほ〜んと。困ったバカチンだねえ。それにしてもさ、あのドラえもんと
    かの予告編がすごい長かったじゃん?」
 母 「そうそう、そうなのよ!もう『どうでもいいから、早く終わってよ
    〜!』って思ったわよ!」

 七緒「トイレ終わったら、また戻れば良かったのに」
 母 「ダメダメ!出るときもすごく大変で、また戻るなんて、スタッフの人に
    悪くて、とても言えなかったわよ!!」 
 
 こういう時父は、口を挟むと余計に立場が悪くなると思うのか、他人事のよう
に知らん顔している。それがまた可笑しくて、馬鹿馬鹿しくて、もう笑うしかな
いのだ。

 「さ、それじゃ、ご飯でも食べて帰りますか!?」
 同じショッピングセンター内の居酒屋で、日本酒を呑み、すっかり上機嫌の父
ヨシオ。映画は半分しか見られなかったけど、それはそれで楽しかったみたいだ
から、ま、いっか。

 「それにしても、可愛かったわね〜、モニ!」
 もしもし?それって『ニモ』のことですか、母ヤスコさん??

    *     *     *     *     *     *

 さて、ここで問題です。一緒に考えてください。

Q『今回の場合、どうすることが、ヨシオファミリーにとってベストだったので
  しょうか?』 正解はどれでしょう?

A1. 七緒が前日に、窓口へチケットを買いに行き、実際の座席を見てきちん
    と確認するべきだった。
 
A2. 用心して杖を持ち、脚に装具も付けて行くべきだった。(父は杖か手す
    りがあれば、階段の上り下りはなんとかできるから)

A3. 一度すべてを白紙に戻し、冷静になって検討の上、再度出直す。

A4. 席を立たなくて済むように、父にオムツをさせちゃえ!

A5. ほんの1〜2時間位、席にじっとしていられないなら、のこのこ出掛け
    ないで、家でビデオでも見てろ!!

 正解は、上記の5つの中に、ありますかね?4番や5番でないことを、私は願
いますが。
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 ブラブラと耳からぶら下がる、長いタイプのピアスが流行っている。耳たぶか
ら3センチほど、チェーンが垂れていて、下にキラキラ光るガラスが付いている
ピアスをしていた七緒。それをめざとく見付けた母ヤスコ、「あらあ〜、綺麗!
そういうの、してみた〜い!」

 こう言い出した母は、娘がきちんと希望をきいて、自分にぴったりなものを
買ってきてくれると、勝手に信じている。仕方ないので、ショッピングの途中で、
ブツブツ言いながらも選ぶ私。
 「全く、新しモノ好きなんだから!でも『年輩なんだから』と、控えめなのを
選ぶと『これじゃあんたのと違う』とか、文句言うんだよね…。よ〜し!」

 結局、私のよりさらに長い、5センチくらいあるのを買ってやったぜ。案の定、
「まあ〜!やっぱり、お母さんにはちょっと派手ね?」だと。自分で思い知れば、
諦めるだろうから別にいいんだけどね。勇気があるなら、5センチ、ぶら下げて
くださいな、ヤスコさん。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 久々の介護日記に、再開を祝うメールをくださった皆様、本当にありがとうご
ざいます!お気持ちとっても嬉しく、まめに書かなければ…と、鉢巻きを締め直
す私です。
 結局全然見た気がしなかった『ファインディング・ニモ』が、見事アカデミー
賞をゲットしましたね。もう一度、今度は父ヨシオ無しで見に行かなくちゃ!
 ようやく確定申告も終わり、ホッとしてます。そうすると今度は、桜の開花が
気になり、そわそわし始めるのです。晴れた空の桜の木の下、飲むビールは、ま
た格別なんだな!

●今日の格言 『誰も盗らないから、ゆっくり呑めば?お父さん!』
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