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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2003.10.07 ── Vol.0056 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『食のわがまま』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□……… スチャラカ日記 『食のわがまま』 10月6日 ………□■□

 「あ〜〜、どうしよう?メルマガ発行は明日だと言うのに、今回もまたネタが
無いな〜。ねえお母さん、何かネタ無い?うん、そうね〜。ネタが無いって事は、
良いことだけどねえ…」

 などと話しながら夕食タイム。今日はカレーだった。ヨシオ家は、メニューの
ネタに詰まると、カレーライス。ま、それは大抵どこのご家庭でも、きっと同じ
だと思うけど。
 
 お皿もほぼ空になり、あと一口を残すのみとなった頃、父ヨシオはわざとらし
く首をかしげている。
 
「な〜んかお父さんが、首をかしげてるよ」
「あら、どうしたのお父さん?」と、母ヤスコ。
「……。どうしてこんなに水っぽいんだ?」と、父。

 確かに今日のカレーは、割とサラサラした方だったが、別に水っぽいという程
では無い。

「あら、そう?」
「俺はもっとドロドロした方が好きなんだ」
「私はドロドロよりサラサラの方が好き。これも美味しいじゃない?」
「口に入れると、ピーマンが嫌な味だ」
「別に苦くも無いけど?」
「ナスなんか美味くない!!」

 父はご飯粒を口から飛ばしながら怒っている。要するに、最近母がお気に入り
の、野菜たっぷりのサラサラカレーがお気に召さないらしい。それにしても、も
うほとんど平らげてから、文句を言い出すのも、なんだかよくわからん。

「これはこれでいいんじゃない?美味しいじゃん」と、私が助け船を出すが、
父はまだ口をとがらせてブーブー言っている。

 私はだんだん面倒臭くなり、「あ〜あ〜、だったらもう、食べなくて結構!」
と投げやりになる。すると父、「食べなきゃ死んじゃうじゃないか!」
 はあ〜?一食くらい食べなくても、その体脂肪があれば死なないと思うけどね。
 見かねた母ヤスコ、「はいはい、じゃあたっぷり食べれば?」と、ほんの少し
ご飯が残っている父のお皿に、またカレーをたっぷりよそってやる。『このカレ
−が気に入らない』と、文句を言っているのに、またよそっちゃう辺りが、母ヤ
スコの器の大きさというか懐の深さというか、なんというか。

 父ヨシオはしばらく、憮然としてお皿をにらんでいた。そしてまたスプーンを
取り食べ始めたが、タマネギやらピーマンやらの野菜を、わざとらしく除けては、
お皿の隅に叩き付けている。まったく大人げないよ。

 どうも最近、こういう傾向が強いような気がする。

 身体も自由に動かないし、やりたい事もできないし。楽しみは食べることだけ
…というのは、よくわかる。誰でも不味い物よりは、美味しい物を食べたい。
 けれども、自分の記憶の中の『最高に美味しかった味つけ』とか、『俺がお気
に入りの食感』とか、『この食材は昔はもっと良かったはずだ』とかを求められ
ても、実際困るのだ。

 まあ、カレーライスぐらいなら、父ヨシオの好む『ジャガイモがゴロゴロ入っ
てる昔ながらのドロドロと重いカレー』を、再現することは難しくないだろう。
しかし日常茶飯事にそんな食のこだわりを持ち出されても、それは無理難題とい
うもの。いつものことと聞き流せる大らかさが、母ヤスコにあるのが救い。いち
いち聞いてた日にゃ、こっちがノイローゼになるよ。もっとも、聞き流されちゃ
う父の方は、ストレス溜まるだろうけどね。

 そこまで言うのなら、自分でやってみたらどうか、と思うんだ。

 同じ程度の身体マヒになった場合、女性の方が男性よりも、回復が早いという
説がある。やはり女性は、家事をしなくてはという、切実な義務感がある。健康
で何でもできるご主人がいたとしても、常日頃家事を請け負っていた女性ならば、
利かない身体で懸命にお鍋を持ったり、洗濯物を干したり…という動作の必死さ
が違う。家族に不自由かけないよう、早く良くなりたいと願い、動く。そのこと
が、なによりのリハビリになるのだという。

 何もかも妻任せの男性とは、そりゃ真剣度が違うわな。
 
 うちの父ヨシオは以前、家の仕事をするのが大好きで、料理などもうまかった。
それなのに今では何もかも放棄し、母に頼りっぱなしで、うたた寝と食べること
だけが全ての様子。父よりもっと重い障害の方が、身の回りのことを自分でこな
す努力を、日夜重ねているというのに。

 よ〜し、ここはいっぱつ、車椅子にふんぞり返ってばかりいないで、自分好み
のカレー作りに挑戦してみるか!…と、前向きに考えてくれないかしら。
 何もかもひとりでやってみろ、なんて言わないよ。皮をむいたニンジンを切っ
てみるとか、納得行くまでカレールーを入れて、かきまぜるだけでもいい。それ
だけでもきっと満足して、変なわがままを叫ばなくなるんじゃないかな。

 と、諫言してみたところで、父ヨシオは知らん顔。
 明日もまたきっと、トーストにもっとジャムを塗れ!などと、わがまま言い出
すに違いない。そうしたら私は、ジャムを素早く冷蔵庫にしまっちゃうね。
 そして「自分で取って、好きなだけ塗れば?」と、澄まし顔で言ってやる。
悔しかったら、たかがそれだけのこと、やってみればいい。そんなガッツを見せ
てくれたら、また父を見直すんだけどな。
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 「さあて、『今日の母ヤスコ』には何を書こうかな〜」と、私。
「最近、何も変なことしてないわよ」と、母ヤスコ。

「ちょっと、たまには何か良いこと書いてよ」と言い出した。
「ええ〜?『うちの母ヤスコは、こんなに素敵です』って?そんなの読んでも、
つまんないじゃん。」
「だって、いつもドジばっかりしてるみたいじゃない」
「そんなバカな。『このヤスコさんは、普段はちゃんとしてるんだろうけど、こ
ういうお茶目な所がいいね』って、読者さんは思ってくれてるよ、きっと」
「そうかしらね」
「そうだよ。それに、『あることないこと』書いてる訳じゃ無く、実際にお母さ
んがやらかしたことを書いてるんだし」
「はいはい、そうでしたよ!!」ありゃりゃ、開き直っちゃったよ。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 先日、両親の旅行仲間の皆さんと、お食事会をしました。とても楽しく和やか
な時を過ごし、何日も前から楽しみにしていた父は、大満足。何かトラブルでも
あったら、介護日記のネタにしようと待ち構えていたのですが、そんな出来事は
全く無く、何よりなのでした。AさんHさん、ありがとうございました。
 10月に入り、本格着物シーズン到来!良い着物友達にも恵まれてるので、一
緒にお出掛けしては楽しんでます。目下の目標は、この着物への情熱を、なんと
か仕事に結びつけたい!仕事になった途端、趣味とは呼べなくなり、楽しめなく
なることも、薄々わかっているけどね。
 
●今日の格言 『和裁の先生には、あと20年はがんばってもらわにゃ』
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