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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2003.07.22 ── Vol.0051 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『オールスターの日』
       ●今日の母ヤスコ
       ●プレゼント当選者発表
       ●編集後記
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□■□…… スチャラカ日記 『オールスターの日』 7月16日 ……□■□

 それはアメリカ・大リーグのオールスターゲームの日だった。

 私は急ぎの仕事が入り、ちょっと焦っていた。お客さんが朝イチで電話を掛け
てきて、どうしても今日中に駅看板広告のデザインを上げて、夕方の宅急便で
データを送って欲しいとおっしゃる。
 作業としては別段難しいものでは無いのだが、できたデザインを一度、eメー
ル添付してお客さんに見せて、オッケーを貰ってから正式なデザインデータを用
意するので、段取りをきちんとしないと、間に合わなくなるのだ。

 まあそういう依頼は、歓迎しないけどよくある事なので、それ程ビビらなくて
も良い。問題は、今日は母ヤスコが出掛けてしまうので、父ヨシオの面倒をひと
りで見なくてはならない事だ。

 とは言っても、最近の父は進歩が目覚ましく、ひとりでトイレに行って用を済
ませ、また元の位置にちゃんと戻っている…なんていう荒技を時々披露し、家族
をびっくり&喜ばせている。気候も暑くもなく寒くもなくて丁度良いし、最近は
病院にもとんとご無沙汰で、かなり良い状態を保っているので、以前に比べ大幅
に自立してきた感がある。

 母は午前10時頃出掛けて、午後4〜5時には帰る予定なので、日課のリハビ
リ・昼食・3時のおやつは、父につき合わねばならない。

 仕事がものすごく忙しくて、どうしてもリハビリの時間が取れない時には、事
情を話し、リハビリをお休みにする日もある。もちろん父は大歓迎。でも、それ
に味をしめて、父は毎日でも「今日は忙しいんだろ。リハビリなんかしなくてい
いから、仕事しなさいよ」などと言い出しかねないので、極力お休みはしないよ
うにしている。

 朝食後、髭を剃っている父に「リハビリは9時半からね」と、声を掛ける。
やることやってしまわないと、落ち着いて仕事にも取りかかれやしない。
 自分の用事を済ませ、父の部屋に行くと、いつもはほんの10分の間でも居眠
りしているのに、今日はテレビを見ている。大リーグ中継だ。私も最近、松井の
魅力にはまってるので、もちろん見たい!けれども今日は、2時間も3時間もテ
レビを見ている暇は無いぜ!本当はこのリハビリの30分も惜しいんだけどね!

 …と、心で叫びつつ、非情にテレビを消す。テレビを付けっぱなしでは、リハ
ビリに集中できないからだ。父は黙ってベッドに移動。いつものメニューを淡々
とこなし、すべては順調に進んでいた。
 …が、あと5分で終わりという時になって、突然『急にやりたくない病』が
発病!!「ちょっと〜、こんな時に勘弁してよ〜」と思ったが、もう目を三角に
して、テコでも動かない父ヨシオ。

「もう止めたって言ってるだろう!!」
「なんでよ〜?あとほんのちょっとで終わりなのに。早くやってしまおうよ」
「イヤだったら!」
「イヤとかそういう問題でなく。お父さんの身体の為でしょ」
この3年間で、もう何回このやりとりをして来たことか。全く馬鹿馬鹿しい。

 すっかり出掛ける支度を終えた母ヤスコが、騒ぎを聞きつけてやって来た。
なんとかかんとか宥めるが、父は聞きやしない。もう約束の時間なのでと、母は
さっさと出掛けて行き、父とふたりきり。サシで勝負だ。

 リハビリをやるやらないで、ケンカになる時、私は絶対に譲らない。そりゃあ
誰しも気分が乗らない時や、ちょっと頭が重いとかお腹がイマイチとか、体調が
優れない時もあるだろう。だが、それをいちいち「ま〜かわいちょ〜!!じゃあ、
今日はリハビリやらないで、一日中寝ていて、いいでちゅよ〜」などと許すわけ
にはいかんのだ。

 正直、今日は時間的に辛い。父を投げ出して、もう終わりにすればどんなに助
かるか。30分で終わるものが、ただでさえもう大幅にオーバーしている。しか
し時間が無いなどとは、口が裂けても言えないぜ。「だからもうリハビリは止め
て、仕事しろ」と、なるに決まってるじゃん。それじゃ何のために厳しい時間を
やり繰りしているのか?すべての努力が水の泡だよ。

 父は父で、いつもとは違っていた。
 大抵は『急にやりたくない病』になっても、私とワーワーやり合っている内に、
面倒になるのか諦めるのか、渋々リハビリの続きをやり、表面上は和解が成立す
ることが多かった。しかし今日の父ヨシオは相当粘り、勝手に靴と装具を脱ぎ捨
て、ごろんとベッドに横になってしまった。

 こりゃもう何を言っても駄目だ!
「あっそ。じゃ、そうやってず〜っと寝てれば!?うんちもおしっこも垂れ流
し!ご飯も食べずにず〜っとそうしてな!!」
 捨てぜりふを吐き、私はとっとと仕事モードに入った。もうつき合い切れない
ぜ。リハビリの予定時間は小一時間もオーバー。急がないと本当に間に合わなく
なっちゃうよ〜!

 パソコンに向かいつつ、やはり気になるので、しばらくしてそ〜っと父の様子
を見に行くと、高イビキで爆睡している。またもや馬鹿馬鹿しくて脱力するが、
今はなにしろ急いでいるので、そのまま放っておく。

 やっと仕事のキリが良くなり、お昼の支度をする。父もようやく目を覚ます。
まさか本当に垂れ流されたら大変なので、トイレに行かせた。ちぇっ!自分が
ちゃんとリハビリしないで、もっと身体が動かなくなったら、家族が大変だって
ことを、どうしてわからないのか!?私はまた腹が立ってきた。

「それで?またふて寝するの、それともお昼食べるの?今日はしょぼいお茶漬け
だけどね」と言うと、それがさらに気に入らないらしい。
「食べたくない」「あっそ。食べたくないなら、食べなくて結構。後でお腹空い
たなんて言わないでよ」「いらないったら!」
 全く面倒臭いオヤジだよ。

 1食くらい食べなくても死ぬわけじゃなし。父は放っておいて、自分はお茶漬
けをかき込み、さっさと仕事の続きに取りかかる。ようやく片付け、宅急便の手
配を済ますともう3時近かった。しょうがないので、またお茶漬けの支度だ。

 テレビを見ている父に、「ご飯食べる?」と訊くと、むっつりしながらも頷く。
ダイニングへ行き、父を定位置に着かせる。ふたりともずっと無言。
 そのまま父はお箸を取り、食べようとしたので、
「食べる前に、私に何か言うこと、あるんじゃないの?」と、突っ込んだ。
 我ながらいささか意地が悪いが、ここはハッキリしておかねば。

 ご飯を食べたい→これからも生きる意志がある→ちゃんとリハビリする。

 ちょっと極端だが、つまりはそういうことだ。
 食べるからには『心を入れ替えてリハビリする宣言』を、是非ともして貰わな
くちゃ。しかし父ヨシオは、箸を投げ出し、宣言拒否。

 うう〜む。敵もなかなかしぶといのう。しかし、こちらはもう時間ができた。
いくら粘ろうがへっちゃらだ。結局いつものリハビリを巡るケンカに発展し、
目の前のお茶漬けは冷めゆく。

 その内、父の本音が飛び出した。
「だから俺は、今日はテレビを見て、寝てるって言ったんだ!」
「誰に言ったのよ、そんなたわごと。テレビって、オールスター?そりゃ私
だって見たかったよ。お父さんのせいで、見られなかったんじゃん」
「楽しみにしてたのに!」
「じゃあ、リハビリ始める前に『オールスター見たいから、終わってからリハビ
リするよ』って、どうして言わないのよ?」
「わからん!!」

「はあ〜?大体さ、素直にやれば30分で終わって、後はゆっくり見られたのに。
自分で引き延ばして、その後ふて寝して、見られなかったんでしょ?自分が悪い
んじゃん」
「うるさい!!」
 
 ふたりで不貞腐れていると、母ヤスコが帰ってきた。もう父の顔は飽き飽きし
たので、母に下駄を預けて退散。その後父は、お土産のずんだ団子(大好物)を
食べて、すっかり機嫌を直したらしかった。

 夕食時に再び顔を合わせる。私はまだちょっと腹の虫が治まらないのに、父は
「俺、焼酎貰おうかな〜」などと脳天気なことを言っている!!
「あぁ〜?焼酎だ〜?リハビリしない癖に、ご飯も食べるしお酒も呑むの?!」
「まだ言ってる!七緒はしつこいな〜!」
「ええ、巳年ですからね。しつこさには自信があるよ!」
 不覚だ。自分でも笑ってしまった。

 そんなわけで、今年の大リーグ・オールスターゲームは、松井が打ったんだか
イチローが走ったんだか長谷川が投げたんだか、全くわからないまま終わった。
 
 結局のところ、今日は母が出掛けるので(これも不機嫌要因のひとつ)、自分
がオールスターを見ながらずっと寝ていれば、忙しい七緒にも手間を掛けずに
済む…と、父ヨシオは考えたらしい。
 そんなことじゃないのにね。寝たきりにさせない為に、日夜がんばっているの
に、それじゃ180度反対だよ。余計な事を考えてくれて、却って大迷惑。
大間違いだっつーの!!
 
 なにはともあれ、ここ数日、一応は文句を言わずにリハビリに取り組んでい
る父。嫌がるとますます、娘の闘志を掻き立ててしまうことに、そろそろ気づい
てもいい頃だと思うんだけどねえ〜?
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 母ヤスコは月に1度、絵手紙教室に通っている。先日、その仲間達とスケッチ
に出掛け、すっかりはまったらしい。
「葉っぱなんかね、日差しが透けて、キラキラしてるのよ!薄暗い家の中にこ
もって描いてるのと、全然違うわ!!」そりゃ、よござんした。
 以前は屋外でのスケッチを勧めても「誰か通り掛かりの人に見られたら恥ずか
しい」とかなんとか言っていた。誰も見ちゃいないっつーの。
 今では隙あらば、スケッチセットを抱えて飛び出そうとしている。その姿に少
しだけ、「屋外でスケッチしている私って、ちょっとス・テ・キ」ってなニオイ
を感じるのは、私だけかしら。
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■□■………………… プレゼント当選者発表コーナー …………………■□■

 前回大募集した『母ヤスコの手描き絵手紙プレゼント』に、多数のご応募いた
だき、ありがとうございました。

 当選者は下記の5名で〜す!
●森のパン屋さん ●もりもりさん ●ちゅーたさん 
●rizuさん  ●震電さん         
 
 おめでとうございます!貴重なご意見も、ありがたく拝読しましたよ〜。

 残念ながらはずれた皆さん、ごめんなさい。またいつかこのような企画をしま
すので、お楽しみに〜!!

 当選の皆様には、その内、母ヤスコから直筆の絵手紙が届きます。作品が出来
上がり次第となりますので、気長にお待ちくださいませ。

 前回、【七緒のスチャラカ★介護日記】50号発行記念として、ホームページ
にアップした『父ヨシオ&母ヤスコ・直筆メッセージ』も、大好評!特に父のお
茶目っぷりは、見逃せません。下記のアドレスに今すぐゴー!!
 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 
http://www004.upp.so-net.ne.jp/nanao-77/
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 今回のリハビリケンカを、友人のSちゃんに愚痴ったところ、
「またぁ〜?しかし、父ヨシオも懲りないねえ。どうせやらなきゃいけない事だ
から、観念すればいいのに…」そう!まさしくその通りなのよ!!
 あまりにも懲りないので、「もしかすると、これはケンカではなく、愛しい娘
との楽しいコミニュケーションだと思ってるのかも…」なんて、おぞましいこと
を考えてしまった。もしも〜し?そんな体力も気力もないんですけど〜〜?

 隔週火曜日発行のはずが、最近は水曜に届くな…??と、お思いのことでし
ょう。その通りです。時間がずれ込んでいて、ごめんなさい!なんとしても火曜
日中には配信を!!と、がんばっているのですが、今現在もう23時40分…。
とほほ。どうか温かい目で、見守ってやってくださいませ。次回こそは!?
 
●今日の格言 『最近の夏、短すぎ!最低4ヶ月は、平均気温30度を希望』
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【本誌では、みなさんのご意見、ご感想、何でも大募集中!!】
 Mail to:nanao@abox9.so-net.ne.jp
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  報くださいね。
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