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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2003.07.08 ── Vol.0050 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『ビミョ〜な温度差・後編』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■…… スチャラカ日記 『ビミョ〜な温度差・後編』 7月2日 ……■□

 (両親と父方の親戚・計7人を引き連れての旅行。それは父ヨシオを巡っての、
実にビミョ〜な温度差を感じた旅であった。宿での大宴会、ご馳走とお酒と唄と
おしゃべりで、すっかり大満足の一夜が明けた…)

 翌朝、二日酔いで倒れる者もなく、皆爽やかに朝食を平らげた。

「七緒ちゃん、今日はこれからどうするの?」すっかり添乗員状態。
「うん。近くに大きな水族館があるので、そこへ行こうと思って」
「水族館〜?そう…。もっと何か無いのかな、見るところは?」
「う〜ん、色々あるだろうけど、やっぱりお父さんの事を考えると、大きな施設
はバリアフリーがしっかりしてるから、それだけ安心なんだよね。美味しいもの
は無いと思うけど、うちはお昼もそこで済ませるつもりなの」

 おじおば達は、今ひとつ乗り気じゃない様子。しかし、誰が何と言っても、車
椅子のトイレが無い所へは、到底行けやしないし、条件を満たせる大きな施設は、
その水族館しか無いのが現実。
 結局、皆のリクエストにより、港近くの市場へ立ち寄ってから、水族館へ向か
うこととなった。

 市場と言っても、観光客向けのワイルドなマーケット…という感じ。駐車料金
をケチって、叔父達は車をその辺に停め、さっさとあちこちへ散らばってしま
った。父ヨシオのきょうだいは、東京大空襲で焼け出され、祖母の実家である宮
城県の漁村で育ったので、魚や貝にはちょっとうるさいのだ。

 路上駐車しているので、私は車の中で待っていたのだが、入口で父ヨシオがポ
ツンとしているのが目に入った。皆がそれぞれ市場の商品に夢中になっていて、
母ヤスコすら姿が見えない。しょうがないので車を降りていった。

 「ちょっと中に入ってみる?」と、車椅子を押す。新鮮な採れたての魚や、
干物・乾物が所狭しと並んでいる。父もこういう賑やかな市場が大好きなのだが、
いかんせん車椅子には向いていない。通路は狭いし、商品が沢山並んでいて、
ちょっとぶつかったら崩れそう。大勢のお客さんと威勢のいい漁師さん達で溢れ
ていて、もたもたしていたら怒鳴られそうだ。

 仕方ないので二人で、海の見える港の方へ行き、写真を撮ったり海を眺めたり
して時間をつぶす。父ヨシオはもう飽きてるし、海からの風は冷たく、そろそろ
トイレも心配だ。じっと待つ身には時間が長く、夢中で買い物している身には、
その時間は短かく感じるのだった。

 まだなにやら選んでいる伯母を急かし、ようやく出発。海岸に造られた水族館
は新しく大きく、私は気を取り直し、海をバックにはしゃぐジジババ相手に、カ
メラマンも務めた。

 中はもちろん全館バリアフリーで、車椅子トイレも文句無し。エレベーターも
使いやすいのだが、順路が複雑でちょっとわかりにくかった。やたらと上の階へ
下の階へと移動させられ、わけがわからない…というのが、正直な感想。
 それでも施設自体は素晴らしいし、父ヨシオも色々なウンチクを傾けながら、
楽しく魚達に見入っている。

 入場直後から皆バラバラに鑑賞し、お昼からのイルカのショーで合流すること
になった。ショー会場に行ってみると、おじおば達は、正面の見やすい良い席に
陣取っている。我々は、ちょっと端寄りで出入口近くの、車椅子スペースへ行く
しかない。せっかく一緒に来たのだから、皆こっちで一緒に見てくれたらいいの
にな〜と、一瞬思ったが、向こうの席の方が確かに見やすいし、そんなことを強
要するわけにもいかないよね。

 実際は父が、イルカ大好きなくせに、ショーが始まった途端にイビキをかいて
寝てしまった。まったく馬鹿馬鹿しい。おじおば達をこっちに引っ張って来なく
て、大正解だったよ!ぷんぷん!!

 さて楽しいショーが終わり、いい気持ちで寝ている父ヨシオを揺り起こす。
「そろそろいい時間だね。お昼ごはんはどうしようか?その前に、お父さんがト
イレだから、ちょっと待っててね」と、おじおば達に話し、混み合っているトイ
レでなんとか用を済ませる。ようやくエントランスへ来てみると、おじおば達の、
影も形も無かった。

 「あれぇ〜?おかしいな。皆どこへ行ったんだろう?」
遠足の子供達や、家族連れでかなり混み合っているが、知った顔は見えない。
仕方ないので叔父に携帯で電話してみると、
「とっくに出ちゃったよ。煙草を吸いに、向こうの方へ行っちゃったのもいるよ」
などと言っている。
 なにぃ〜??まだ今後の相談もしてないのに、どうして勝手に退場しちゃうの
かな!?

 「入口にいるから、ちょっと戻ってきてよ!!」と、電話口で怒鳴ると、皆バ
ラバラと戻ってきた。出入り口の仕切り柵を、あっちとこっちで挟んで、全員集
合だ。
 私はもうご立腹モードだったが、努めてクールに言った。
「簡単なスナックみたいのしか無いけど、やっぱりトイレもあるし安心なので、
うちはお昼ここで食べていくよ。まだペンギンとか、見たいのもあるしね」

 「そうか。僕達は、どこか他で帰りがてら食べるよ。それじゃ、ここで解散で
いいね?どうもお疲れ様でした〜」

 皆口々に、お疲れだの楽しかっただの、またねだのお元気でだの言い合って、
去って行った。

 うん、いいんだよ、それで。おじおば達は、全然間違ってない。

 私だってここの、ラーメンやたこ焼きみたいなメニューしかないお店より、ど
こか穴場の美味い寿司屋かなにかで食べたいものだ。父ヨシオは、誰よりそれを
願ってるはずだろう。でも、今それを実現するのは、とても難しい。

 もしかして皆は、たいした興味も無い水族館につき合わされ、面白くない気持
ちになっていたのかもしれない。お昼の時間もとっくに過ぎて、お腹が空いて苛
立っていたのかもしれない。ずっと煙草を我慢していて、もう限界だったのかも
しれない。

 でもさ、でもだよ?こちらがトイレに手間取っている間に、何の相談もしない
まま勝手に出てしまうことは、ないと思うんだけど?
 何をするにも時間が掛かり、待たせてばかりで、迷惑を掛けてることはわかっ
てる。おじおば達が、どういう判断で先に出てしまったのかはわからないけれど、
それを知ったとき私は、ひどく見捨てられ取り残された気がしたんだ。

 どう見ても美味しい訳がない食事に、無理矢理つき合ってくれとは言えない。
もう飽き飽きして、お腹が空いて、煙草が吸いたくて、早く水族館から出ていき
たい気持ちになっていたのを、止められはしない。
 けれど、もし、逃げるようにいなくなったりしないで、皆が揃って父ヨシオが
戻るのを待っていてくれたなら、この旅は最高に素敵な思い出になったと思う。
 それだけが、残念なんだ。

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

 子の心、親知らず。その後の父と母は、私の悲しみなどは全く気付かない様子
で、例のスナックコーナーの海鮮丼(味噌汁付き千円也)を、美味い美味いと平
らげていた。おい!それでいいのかよ!?

 きっとそんなもんなんだね。おじおば達も、なぁ〜んにも考えずに、
「兄さん達、遅いねえ。ま、すぐに来るだろ」くらいの軽い気持ちで、なんの未
練もない水族館を出てしまったんだろう。案外、そんなものだ。

 今回の旅では、私の父ヨシオに対する思い入れの深さと、親戚のそれとで、
ビミョ〜な温度差が生まれたんだと思う。 
 逆に考えると、例えば誰かの持病の心臓病については、私は全然気を配ってい
ないし、誰かが痛風だと聞いてはいても、ガンガンお酒を勧めたりする。いつ
だって誰だって、そんな温度差を感じているんだろうね。
 ただ願わくば、他人の痛みがわかる人間で、ありたいものですわ。
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 父ヨシオはいつも、ご飯のおかずをほんの一口ずつ残す。「ほら、また残し
て!全部食べちゃってよ」と責められるのは日常茶飯事(まさに字の如く)。
 その日は、「お腹をちょっと空けてあるんだ」と言う。「なあに?あ、わかっ
た」と母ヤスコ。「昨日のケーキの残りでしょ」「ピンポーン!」
「ご飯を残してケーキを食べようなんて、とんでもない!ダメよ!!」
「なんだよ〜!俺に喰わせるのと、蟻んこに持って行かれるのと、どっちがマシ
なんだ?」
「蟻よ!!!」間髪入れずに、答える母。
父のダイエットを心配しての発言でしょう。しかし、蟻のがマシって一体…?
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■□■…………… 50号発行記念・読者サービスコーナー ……………■□■

 チャッラーーン!(←こん平師匠の声で)
 なんと今回で【七緒のスチャラカ★介護日記】は、発行50号を迎えることが
できました!!これもひとえに、愛すべき家族・関係者の皆様・読者の皆様の温
かいご声援のお陰でございます。本当にありがとうございます!

 仕事の締め切りに追われて発行を延期したり、ネタがないとぶっちゃけてみた
り……計画性の無い七緒のいい加減っぷり。
 それでも書き続けていられるのは、常に愉快なネタを提供してくれる、父ヨシ
オと母ヤスコの存在があるからなのです。 
 
 およそ真面目とは程遠い、極めてスチャラカな介護日記でございますが、今後
とも何とぞよろしくお願い致しま〜す!

     *    *    *    *    *    *

 『感謝の気持ちは、モノで表せ!!』ということわざもありますので(ない
か?)読者サービスをご用意しました。
 
●父ヨシオ&母ヤスコ・直筆メッセージ
 下記のホームページアドレスに今すぐゴー!!日本一のお茶目夫婦・ヨシオ& 
 ヤスコの直筆メッセージがご覧いただけます。
 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 
 http://www004.upp.so-net.ne.jp/nanao-77/

●抽選で5名様!!母ヤスコの手描き絵手紙プレゼント!
 これは激レア!母ヤスコから直筆手描きの絵手紙が、抽選で5名様に届きま
 す。世界で一枚だけの絵手紙に、心を込めて。母ヤスコ・ファン垂涎!
 
 ご希望の方はお手数ですが、下記を本文に明記の上、eメールにてご応募くだ
 さい。
 ○お名前(本名) ○郵便番号 ○ご住所 ○ハンドルネーム 
 ○【七緒のスチャラカ★介護日記】に対するご意見やご感想も
  お書きいただけると、幸甚です。

 ご応募はこちらのeメールアドレスまで!(添付ファイルはご遠慮ください)
 ↓   ↓   ↓    
 nanao@abox9.so-net.ne.jp

 当選者は、次回の【七緒のスチャラカ★介護日記】紙面で、ハンドルネームを
 発表させていただきます。ふるってご応募下さい!!
 7月20日(日)到着分までで、締め切りとさせていただきます。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 50回記念特大号(そうだったの?)は、いかがでしたか?父ヨシオが倒れて
から丸3年・介護生活が始まってから2年半。まだまだこれからが正念場です。
スチャラカお気楽ファミリーを、今後ともどうぞよろしく!

 何を隠そう、七緒は7月7日七夕生まれです。今年はなにやら、とても沢山の
方々に祝っていただき、このところ呑み続けでした〜。おまけに、当日の7日は
寝違えて首が回らない状態に。きっと、酒のお誘いは多くて嬉しいものの、その
せいで貧乏になって首が回らない一年になるってことだね。なんだかなあ。

●今日の格言 『私の彦星さま〜!年一回でもいいから、まず姿を現してよ!』
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