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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2003.06.24 ── Vol.0049 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『ビミョ〜な温度差・中編』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■… スチャラカ日記 『ビミョ〜な温度差・中編』 6月18日 ……■□

 (両親と父方の親戚・計7人を引き連れての旅行。それは父ヨシオを巡っての、
実にビミョ〜な温度差を感じた旅であった。現地集合で茨城県・大洗のかんぽの
宿に集ったところからの続き。はじまりはじまり〜〜!)

 集合時間前にきっちり揃い、チェックインを済ませると、まだ午後3時過ぎ。
「夕飯まで時間があるから、うちの部屋にお茶飲みに来てよ。他の部屋は和室で、
バリアフリーじゃないから、お父さんが上がれないからさ」
「ああ、そうか。わかったわかった…」と、皆部屋に引き上げて行ったが、我々
も1階のバリアフリールームに落ち着いて、とっくにお茶を飲み終わっても、誰
も現れない。
 
 父は、皆とゆっくり話すのを楽しみにしていたので、「どうしたんだ?まだ来
ないのか!?」と、ご立腹モードになり始めている。
「ようやく部屋に入って、くつろいでるんじゃないの〜?」と、なだめつつ、お
じ達の部屋に内線電話すると、
「こっちの部屋、とっても眺めが良いから、来てみなよ〜。お父さんにも見せて
あげなよ〜」と、至ってのんびり口調だ。

「普通の和室でしょ?段差があると、無理だよ」
「みんなで持ち上げれば、大丈夫だよ、きっと」

 それが大丈夫じゃないから、こっちに来てって言ってるんだよ!!
……と、ブチ切れそうになったが、相手は何も知らないので、グッと我慢した。
結局、待っていても全然来る気配がないので、両親とともに、2階のおじ達の部
屋に行ってみることにした。

 案の定、ごく普通の和室だ。こっちが散々待っていたのを、知っているのか知
らぬのか、叔父などは浴衣に着替えて超リラックスモード。
 
 部屋に入ってみると、確かに1階よりは眺めは良いが、骨を折って父に見せる
程でもない。
「やっぱり、ちょっと無理だね。段差があるし、畳だし」
「4人で、車椅子の前と後ろ持てば、上がるんじゃない?」
健康で屈強な成人男子が4人で、重量挙げをするのとは、訳が違うんだけど。

「いいよ〜、無理だってば!そんな無理して、膝だの腰だのを悪くしたら、それ
こそ困っちゃうから!」いい加減面倒臭くなって、ちょっと強く言い放ったら、
さすがに誰もそれ以上無理強いはしなかった。
 
 だって、力持ちな一番若い叔父は昼寝してるし、後は還暦を過ぎた叔父ひとり
と、おば達女性軍しかいないんだもん。大騒ぎして担ぎ上げたとしても、散々外
を走り回った車椅子で、畳の間を汚すわけにもいかない。気持ちは嬉しいけど、
心臓だなんだと持病のあるジジババ達に、そんな無理して貰う必要は全く無いん
だ。

 それよりも、こんな騒ぎの中心にいる父ヨシオのいたたまれなさには、誰も気
付いていない。結局、父はドアを開け放した三和土に陣取る。

 気配りの伯母はさすがに、父や他の女性軍に、ポロシャツやら手作りのビーズ
の指輪やらを、持ってきてくれていた。父ヨシオは、すっかり機嫌を直したよう
だったが、半分廊下にはみ出したままでいるのもなんなので、一旦自分達の部屋
に帰ることにした。

 ほどなく、ようやく皆がやって来た。バリアフリールームの造りに、興味津々
の様子だ。
 「この天井の線路は、なに?」「ベッドからトイレやお風呂に連れていける、
リフトだよ。うちのお父さんは、そこまで必要ないけど。乗っかるブランコ
(?)は、申し出れば付けてくれるんじゃないかな」
 「お風呂もちゃんと手すりがあるのね」「でも、お父さんの使える手脚と逆な
んだよね。浴槽もすごく深いし、ま、入るのは無理だね」「まあ!じゃあ、意味
無いわね!?」

 おじおば達は、ふう〜ん、へええ〜、そうなんだ〜〜と、いちいち感心したり、
憤慨したりしていた。そうよ、そうなのよ。私達はだいぶ慣れたけど、当事者に
なってみないと、不自由な事柄などは、わからないものなのよ。

 でも、このおじおば達は幸せだと思う。皆50代〜60代まで年齢を重ねて来
ていて、まるきり皆無ではないとしても、誰か身内の介護を余儀なくされたり、
自らが介護されたりという経験が無いのだから。
 
 だから父ヨシオの不自由さにも気が付かないし、気遣ってくれたつもりが、逆
にありがた迷惑になってしまったり。もちろんそれを責める訳じゃない。ただ、
私がそうだったように、身内や自分の不自由によって、世の中には健常者ではわ
からない色々なバリアがあるんだ…と、感じることができるんじゃないかな。

 とは言いつつ、やっぱりわかっちゃもらえねーな、とも思う。

 宴会場のひとつを借り切っての大騒ぎの後、うちの部屋で二次会。畳が敷いて
ある小上がりを囲んで、またもや気の置けない大騒ぎだ。
 父がトイレの度に、母ヤスコが車椅子を押して行く。ふたりがトイレへ消える
と、私に矢継ぎ早の質問攻め。

 「で、どうなのよ、兄さんは?ずっと車椅子に座ってるけど、お尻は痛くなら
ないの?」「いや〜、そりゃ痛いでしょうね。でも、いつも寝てる訳じゃなく、
ああして座ってるんだから、大丈夫だよ」「俺ならきっと我慢できないなあ。
家で、もっと良い椅子に座らせてあげたら?」
 …(七緒・心の叫び)色々試してはみたんだけどね!それじゃ家中椅子だらけ
になっちゃうし、結局車椅子が一番楽だって、本人が言うんだからさ!

 「リハビリしてるんでしょ?歩けないの?」「少しなら歩けるよ。でも、体調
の良いときにごくゆっくり…程度だから、こういう旅先では、まず歩かないね」
「もっと厳しくやったら?本人の為でしょ」
 …本人にやる気がありゃあ、ねえ。もうとっくにシャキシャキ歩いてるんじゃ
ないの?こんな旅先で、『歩く・歩かない』で大喧嘩するのも嫌だし、周りの人
にも迷惑だっつーの。
 
 「そんなんで大丈夫なの?もっと良くなるんでしょ?」「う〜ん、これ以上良
くなるって、どうかなあ?リハビリも、どっちかっつーと、これ以上悪くならな
いように…って感じだと思うよ」「えぇ〜?そうなの??」
 …這えば立て、立てば歩めの親心ってやつ?歩き始めた子供なら、これからど
んどん成長するばかりだけど、年輩者はどんどん年取って衰えるばかりでしょ?
その辺、お孫さんと一緒にされちゃ困りますよ〜。

 質問に答えている内に、ちょっとやるせなくなってきた。

 誰も彼も、父ヨシオを心配してくれていることは、良くわかるし、とても嬉し
い。でもさ、ちょっと違う。なんか、ビミョ〜に違うんだよね。

 その「違い」が、なんなのか?それがわかる日が、来るのだろうか??

 そうこうして、12時過ぎまで飲んだくれていたヨシオ様ご一行。翌日、また
もや七緒をがっかりさせる事件が勃発するとは、つゆ知らず…。(次回へ続く)
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 父ヨシオがデイサービスで外出中に、母ヤスコと某カジュアルウェアの店へ行
く。それぞれお気に入りの服を選び、「お父さんにも一枚、買ってあげないと…」
と、値下げワゴン内をひっくり返し、ポロシャツを1枚選び出した。
 父の帰宅後しばらくして、「ポロシャツ、気に入った?」と訊くと、母が
「失敗したわよ!値札付けたまま見せちゃった!」あちゃちゃ〜!そりゃまずい。
 「500円だなんて!もっと良いの着せてくれよお〜」父ヨシオは笑いながら
怒っている。「値下げ前は、もっと高いんだから、いいのよ!!」と、わかるよ
うなわかんないような理屈で、ねじ伏せる母ヤスコ。ちなみに値下げ前は、19
00円でしたとさ。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 大洗旅行記は、書いている内に長くなってしまい、堂々の三部構成と相成りま
した。ちょっと『スチャラカ』というコンセプトとは、はずれてますが、何とぞ
おつき合いくださいませ。
 さてさて、そんな【七緒のスチャラカ★介護日記】も、次回でなんと50回を
迎えます。父ヨシオが最初に心筋梗塞で倒れてから、早丸3年…。長かったよう
な、短かったような…。ここまで来られたのも、ひとえに皆様方のお陰です〜。
よよよ(泣)。と言いつつ、50回記念として、何か読者サービスを考えておき
ます。次回をお楽しみに!

●今日の格言 『二日酔い減量、あっさりリバウンド。自分の生命力が怖い!』
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