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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2003.01.07 ── Vol.0038 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『みんなと同じに』
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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□■□……… スチャラカ日記 『みんなと同じに』 1月6日 ………□■□

 平成15年、お正月がやってきました。皆さんはどのように迎えられました
か?ヨシオファミリーはもちろん、宴会です。

 毎年ヨシオ家では、正月の2日か3日あたりに、新年会を催すことになってい
る。祖母の存命の頃は、父の兄弟なども集まって、大層賑やかだった。今は七緒
のきょうだいを中心に、その連れ合いや姪っ子達も集まり、またまたこれが賑や
かだ。

 今年はこの新年会に、義妹の実家のご両親も来てくださるというので、おせち
作りにも気合いが入る。

 大晦日、母ヤスコとふたりでキッチンに立つ。私は普段あまり料理はしないの
で、本格的に料理に取り組むのは、1年中でこの日だけ、と言っても過言ではな
い。まあ、料理と言っても、本を見ながら簡単かつ見栄えのするものを、ちまち
まと拵えるだけなんだけどさ。

 父ヨシオは何日も前から、大好物の松前漬けのことや、お酒の種類のことに心
を砕いていた。元気だったら、自ら包丁を握って仕切りたい父なのだ。
 冷える午後、キッチンの隣の居間で、ストーブの横に陣取り、母と私の動きを
見守っている。

 そうこうして、新年会の日がやって来た。

 狭い我が家のこと、居間は9人の大人と3人のチビで、いっぱいになってしま
った。ふたつ並べた食卓は、おせち料理や人数分のお皿、コップ類で溢れんばか
り。そうだった、準備で忙しくて、重要なことを忘れていた…。

 「お父さん、あのちっちゃいテーブルで、いいよね?」

 案の定、それまではしゃいでいた父は、嫌そうな顔をして、黙ってしまった。
 
 『ちっちゃいテーブル』とは、車椅子に取り付けるテーブルの事だ。マジック
テープで、車椅子の肘掛け部分に、固定できるようになっている。かなり奥行き
もある大きな物だが、子供が座るハイチェアに小さなテーブルが付いているもの
を、イメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。
 
 普段の食事時には、父は車椅子のままキッチンのテーブルにつく。車椅子の足
元が収まるようなテーブルを選んだので、テーブル自体は小さめ。母と私と、い
つもは3人だが、せいぜいあと1〜2人で囲むといっぱいいっぱいだ。

 うちはよく来客があるので、そういう時には居間の座卓(早い話がちゃぶ台)
で、食事をすることが多い。これだと、座卓の左側に車椅子を付けて、父は右側
の低い座卓に手を伸ばして、食事をとることになる。お箸を伸ばしてつまんだお
芋が、口に運ばれるまでにコロコロリン…なんてことも、しょっちゅうなのだ。

 そしてこの体位だと、ラーメンなど汁物は絶対食べられないので、そういう時
はひとりだけキッチンのテーブルで食べたりしていた。(もちろん、可哀想なの
で、誰かが一緒にキッチンで過ごすけどね)

 そこで、介護用品のカタログから探し出したのが、この『ちっちゃいテーブル』
なのだった。これならみんなと一緒に居間にいられるし、自分の目の前の専用テ
ーブルに、ご馳走が並ぶので便利だと思ったのだ。

 ところが、父ヨシオはこれを嫌がった。来客が多くて仕方ないときなどは、渋
々我慢してくれたが、
「それならひとりでキッチンで食べる!!」と言い張ることもしばしば。

 去年の夏、七緒の女友達が2人、父の見舞いを兼ねて遊びに来てくれた。この
時も居間の座卓に食事を出し、父には『ちっちゃいテーブル』を用意した。
 「それは嫌だ」「でも、キッチンのテーブルじゃ狭いから、我慢してよ」
そんなやりとりを聞いていた友達のひとり、Mちゃんが言った。

 「ああ〜、それね。嫌なもんなんだよね。やっぱり、みんなと同じがいいんだ
よ。ひとりだけのテーブルじゃ、嫌なんですよね?」

 父ヨシオは、「よくぞ言ってくれた!!」とばかりに、激しく頷いていた。
Mちゃんは以前、老人福祉関連の事業所で仕事をしていたことがあるので、そう
いう父の気持ちを、察してくれたのだった。

 その日は結局、狭かったが全員でキッチンのテーブルで食事をし、カラオケボ
ックスまで行った。友達のお陰で、楽しい一日となったよ。

 長〜い説明となったが、今この新年会では、なんとしても『ちっちゃいテーブ
ル』のお世話にならないと、みんなが座卓に座れそうにないのだ。

 事前にちゃんと了解を取っておかなかった私が悪いのだが、父ヨシオはやっぱ
り「それは嫌だな。このままでいいよ」と言い張る。
 「でもさ、今日はこんなに大人数なんだから、食卓が狭いんだよ。なんとか我
慢してよ、ね?」半分強制的に、車椅子にテーブルを取り付け終わった途端、
「あ。トイレ行ってなかった…。」

 まったく、嫌がらせかと思うぜ、父ヨシオめ!

 それはともかく、Mちゃんの言った通り、ひとりだけ特別扱いされるのは、嫌
なものなのかもしれないね。「その方が便利だから」と、こちらの都合だけで押
しつけるのは、良くないことだよな…と、ちょっと反省。
 『みんなと同じに』って、ごく当たり前のことなんだけど、実現するのは案外
難しい。だけど、それを望まれる以上、希望に近づけるように、みんなで努力し
て行きたいものだ。
 
 しかしまあ、呆れるくらい目立ちたがり屋なくせに、そういう面ではひとと同
じを望む父ヨシオ。なんだかわかるような、わからないような…。
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■□■…………………………… 今日の母ヤスコ …………………………■□■
 
 孫の一人、5歳のアヤと干支の話をしていた母ヤスコ。「ええ〜?アヤ、ウシ
なんて嫌だよ。ウサギ年になりたい」と、ダダをこねられる。
 「あはは。ダメなのよ、アヤちゃん。そういう決まりなのよ」「ヤダ〜、アヤ、
ウサギがいい〜!!」あらら、困ったもんだね。それを言ったら、替えて欲しい
のは誰よりも、私と母ヤスコだよ。ふたりとも巳年だもん、可愛くないことこの
上ないよ。丑なんてまだいい方じゃん!!と思う。
 そして母が世界中で一番嫌いなのは蛇なのだ。可愛くデフォルメしたイラスト
でさえ、気持ち悪いと言って見ようとしない。
 アヤの望むように、自分で干支が選べたらどんなにかいいだろう、と切に願う
母ヤスコであった。
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■□■…………………………… 編 集 後 記 …………………………■□■

 皆様、明けましておめでとうございます。

 なんだか明るい兆しの見えない年明けですが、とにかく前向きに、一日一日を
過ごして行くしかないよな〜、と考える私です。日本経済とか世界情勢とか、そ
んな大それたことより、今日の父ヨシオですよ、いや、マジで。
 本来はこんなことじゃいけないんだとは、わかってはいるんですが、まあ身内
のことだけにかまけている時期が、あってもいいのかも…と、自分に言い聞かせ
ています。そんな私たちですが、今年もどうぞよろしく!

●今日の格言 『365日の内、300日は着物を着て暮らしたいよ〜』
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