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□■□■□ 【七緒のスチャラカ★介護日記】
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□■□■□──────────────── 2001.11.13 ── Vol.0009 ──

       左半身マヒとなった父ヨシオ。母ヤスコと長女・七緒が自宅での
       介護を決意した!お気楽3人家族の、手探り介護マガジンです。
──CONTENTS──────────────────────────────
       ●スチャラカ日記 『良いホテル・悪いホテル 前編』
       ●教えて!素朴なギモン
       ●今日の母ヤスコ
       ●編集後記
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■□… スチャラカ日記 『良いホテル・悪いホテル』 11月13日 …□■

 紅葉の諏訪湖へ、1泊旅行に行って来た。
 今回は前後編で、父ヨシオと泊まって感じる、ホテルのあれこれを書きまくり。

 父が退院して、介護生活もどうにか安定してきた去年の暮れのこと。
父母がよく利用していた、旅行会社のパンフレットを何気なく見ていた。とある
ホテルチェーンの宿泊プランに目が留まる。ホテルの施設が簡単にイラストで描
いてある。露天風呂あり・エステあり・プールあり・ペットと宿泊可 etc。
 
 その中に、車椅子のマークがついているホテルを発見。
「ねえねえお母さん、ここのホテル、車椅子でも泊まれるみたいよ」
「あら、本当?行きたいわね〜、温泉!!でも、大丈夫かしら?」
 その頃母もようやく一段落して、旅行でも行ってのんびりしたがっていたのだ。

 早速旅行会社に問い合わせた。
「車椅子の者がいるんですけど、このマークがついているということは、バリア
フリーになっているんですよね?」担当者がホテルに確認し、折り返し電話が。
「問題無いそうです。安心してお申し込みください」
父ヨシオは大乗り気。でも、初めての外泊で、いろいろと細かいことが気にかか
る。一応ホテルに直接電話して、もろもろ確認してみることに。

「車椅子の者がいるので、ちょっと細かいことをお聞きしたいのですが…」
●部屋に車椅子で入れるトイレはあるのか? → 部屋にはないが、館内に車椅
 子トイレはあるので、大丈夫。
●大浴場には入れるのか、もしくは部屋の風呂に手すりなどの設備はあるのか? 
 → どちらにも、シャワー椅子や手すりなどの設備はないので、お風呂は無理
   かもしれない。
●食事は部屋で取れるのか? → 夕食も朝食もレストランで。その会場までの
 廊下に4〜5段の階段があるが、係りの者が手を貸すので大丈夫。
うう〜ん。温泉は無理か。男手もないし、それはあきらめるか、しょうがない。

 電話のお姉さんは「何も心配無い、大丈夫」を連発。ま、それじゃ、なにはと
もあれ行ってみようか…と、出かけたのは今年の1月下旬のこと。
 初めての遠出なので、まずは近場からと考え、暖かい南房総に七緒の運転で。
目指すは、ホテルM。テレビのCMでも、『ゆったりたっぷりのんびり!旅ゆけ
ばM、ホテルM〜』などと一時放映していたので、皆さんご存じなのでは?
割合有名だし、まあ大丈夫だろう…と、信用したのが運のツキだった!

 ホテルに着く。ピカピカまぶしいエントランス。着物の仲居さんが出迎える。
重厚な石の入口まで、いきなり段差。スロープは無し。嫌な予感がする。

 チェックインし、若い仲居さんに案内されて部屋に向かう。
「こちらのお部屋です〜」と、ドアを開けて唖然。三和土があり、靴を脱いで上
がる畳の和室じゃないか!?
「ちょっと〜、見ての通り車椅子なのよ。どうやってこの部屋に上がるわけ?」
「でも、このお部屋に案内するように言われたんですけど…」アルバイトらしき
若い仲居さんはしどろもどろ。話にならん。
「誰か上の人呼んできてよ。あ、その前にトイレ。車椅子用のトイレはどこ?」
「車椅子用のトイレ…ですか?そういったものは無いと思うんですけど…」
「はあ〜?館内にあるって聞いたんだけど??」だんだん声が荒くなった。
「あの、上の者を呼んできます!!」お姉ちゃんはあわてて駆けて行く。

「どうなってるんだろうね?話と全然違うじゃん!」と、プリプリする私。
父母は心細げにしている。さっきのお姉ちゃんと、黒いスーツの男の人がすっ飛
んできた。

「何か不都合がございましたでしょうか?」不都合どころじゃないって!!
「電話で、車椅子だって伝えておいたんですよ。でも、ここ和室じゃないですか。
洋室に替えてください」
「あいにく全館和洋室になっておりまして、完全な洋室は無いんです。一番いい
お部屋をご用意したんですが…」よくよく部屋を覗くと、三和土から上がって和
室、その先に一段降りてジュータンがひいてあり、ベッドがふたつ並んでいる。

「とにかく先にトイレを使いたいんです。車椅子用のトイレがあるって、電話で
聞いたんですけど」「申し訳ございません。何かの行き違いかと存じますが、そ
ういった施設はありませんので、こちらの部屋のお手洗いをお使いいただけませ
んでしょうか?」…絶句。一体どうなっちゃってるの?父ヨシオは、かわいそう
に、所在なくうつむいている。が、とにかくトイレだ。

 仕方なく、その部屋のトイレにチャレンジ。黒スーツのマネージャーに手を借
りて、車椅子ごと玄関の板の間に持ち上げる。トイレの入口まで車椅子をつけ、
手すりなどもちろん無いので、あちこちに掴まりながら、用を足す。トイレが狭
いのが幸いして、壁にもたれたりした結果、大騒ぎでなんとかかんとか終了。

 ようやく落ち着いて戦闘再開。
「あのですね〜。このホテルに来たのは、パンフレットに車椅子のマークがつい
ていたからなんですよ。これって、どう考えてもバリアフリーで、トイレもちゃ
んと完備してあると思いますよね。電話でもきちんと確認したのに、全然話と違
うじゃないですか。どうなっているんですか?」問題のパンフレットを見せると、
マネージャーは神妙な顔で見入っている。

「こういったご紹介の仕方をしていたとは、存じませんでした。確かに誤解を招
きますね」誤解〜?私たちの一方的な誤解だと言うのか??広告に偽り有りで、
JAROに訴えてもいいんだぞ!

「大変申し訳ありませんが、せっかくお越しいただいたので、なんとかこのお部
屋にお泊まりいただけないでしょうか。できる限りのお手伝いはさせていただき
ますので…」
そうなんだよ、実際この後どうするかが問題なんだよ。このマネージャーを責め
ても何も解決しないし、父母も疲れている。私たちの望むバリアフリーな宿を、
これから探すなんて、無理な相談だ。

「そうですねえ…。トイレは、まあ、無理無理なんとかできそうですしね。父は
歩けないので、畳に車椅子で上がることになりますけど、いいですか?」
「ええ、もう、構いません」「じゃ、車輪を拭きたいので、雑巾か何か貸してく
ださい」ずっと傍らで、叱られた子犬のようにシュンとしていた仲居さんが、猛
ダッシュで駆けて行き、山ほどおしぼりを持って来た。

 丁重にお詫びを繰り返し、マネージャーと仲居さんが去って行き、家族3人で
お茶を飲みながら、ため息。どうしてこんなことになるんだろうね?
「俺のせいで、ごめんなさいね」と、父ヨシオがいつになく下手に出る。
「なによお、気味悪い!別にお父さんのせいじゃないじゃん?それにしてもさ、
実際、体験してみないと、わかんない事が沢山あるよねえ」
これからまだまだ、思ってもみない体験をする事もあるだろう。自分達が強くな
って、身を守るしかないんだよなあ…。そんな事を感じた初めての旅。
                             〜来週に続く〜
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■□■………………………… 今日の母ヤスコ ……………………………■□■

 ヨシオファミリーには、2人の孫がいる。七緒の妹・エツコ夫婦の娘達だ。
上のアヤミは4歳、下のナツミは1歳。父母は孫ちゃん達にメロメロ。
 「明日遊びに行くね」と、連絡があった。翌朝、まだかまだかと待っていると
「熱を出したから行けない」と、無情なる電話が入る。いそいそと掃除をしてい
た母ヤスコは、途中で止めてしまい、父ヨシオは「なんで来ないんだよお〜!?」
と、七緒に八つ当たり。あまりのジジババ馬鹿っぷりに、ほほえましさを感じて
しまう。
 後日、元気になった孫達が遊びに来て、家中走り回り、オモチャをひっくり返
して大騒ぎ。台風のように去った後、母ヤスコは言う。「遊びに来てくれるのは
嬉しいけど、帰るとほっとするね」お〜お〜、正直なこと!!それでも2〜3日
もすれば「今度はいつ来るのかなあ?」と、首を伸ばして待ってます。
 来年、七緒の弟・ヤス夫婦にベビーが誕生の予定。「また豆台風が増えるね」
と、今から待ち遠しくてしょうがないジジヨシオとババヤスコである。
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■□■………………………… 編 集 後 記 ……………………………■□■

 日曜日は法事、月曜日は友達と打ち上げ、水曜日は親戚と食事会。またもや暴
飲暴食の日々。てやんでえ!細っこい腕で、車椅子の積み下ろしができるかって
んだ!おうよ、開き直って何が悪い!?ビールだけが友達でい!

●今日の格言 『今度はドイツで、でかいジョッキと戯れたいな』
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